昨今の労務管理において注目を集めている「つながらない権利」の重要性と導入のポイントをお伝えしたいと思います。
新たな従業員の権利とその効果
近年、勤務時間外における業務連絡が従業員の私生活に大きな影響を及ぼすようになっています。この問題に対して、欧州では従業員が勤務時間外の業務連絡への対応を拒否できる「つながらない権利」という考え方が提唱され、注目を集めています。
フランスではこの権利を法制化し、企業と従業員が具体的な運用ルールを決定することを義務付けています。各企業で対応は異なりますが、重要なのは労使間の話し合いです。この取り組みを導入した企業では、メンタルヘルスや生産性の向上にもつながっているとの報告が多数寄せられています。
具体的な施策
具体的にどのような取り組みが効果的なのでしょうか。重要なのは勤務時間外の連絡を制限する明確な社内ポリシーの策定です。ここでは、通常の業務連絡は原則として勤務時間内に行うことを基本とし、緊急時の連絡手段を明確化することが重要です。
従業員が安心して「つながらない権利」を行使できる環境づくりも不可欠です。これには、企業から「勤務時間外の連絡は原則として不要である」旨を明確に伝えること、時間外の連絡に応答しなかった場合でも人事評価などで不利益が生じないことを明示することが含まれます。
テクノロジーを活用した施策例
テクノロジーの活用も有効です。勤務時間外にメール通知を自動停止するシステムの導入や、連絡が必要な場合でも特定の時間帯に制限する仕組みの構築など、ITツールを活用することで負担を軽減することが可能です。
具体的にはメールの自動返信機能で勤務時間外であることを通知する、チャットツールの通知設定を時間帯で切り替えるといった方法が考えられます。
これらは低コストかつ効果も高いものです。
まとめ
「つながらない権利」の導入は、業務効率の低下につながるのではないかと懸念されるかもしれません。しかし実際は従業員の心身を守り、ワークライフバランスを改善することで、中長期的な生産性や人材の定着率の向上につながることが期待できます。
今後、企業と従業員がより良い働き方を実現するための取り組みを進めていくことが重要となります。「つながらない権利」の確立は従業員のQOLを高め、企業の成長を支える重要な要素となるでしょう。